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兼六園の根上り松 -石川県金沢市-

 2014年は、日本三名園の一つとして知られる兼六園からスタートすることにしたい。兼六園は、加賀藩 5代藩主・前田綱紀が造った蓮池にはじまり、代々の藩主によて庭園に仕上げられていった。兼六園の命名者は松平定信と伝えられ、「宏大、幽邃、人力、蒼古、水泉、眺望」の六勝を兼ねる庭という意味とのことである。園内には多くの巨樹、名木が見られ、霞ケ池の畔には、美しい枝ぶりを水面に映す「唐崎の松」(13代藩主・斉泰が琵琶湖畔の唐崎から種子を取り寄せて実生からから育てたクロマツ)もあり、冬に雪吊りをした姿は、公園のシンボルとさえなっている。
 ところで、公園の中心に近い千歳台には根上り松が雄大な姿を見せている。一般に、根上りと呼ばれる樹形は、雨水や風食によって根元の土壌が流出して、結果として根が露出することによるが、この松は予め高く土盛りしたところに植えておいて、その後、生長とともに土壌を少しずつ取り除いて根を露出させるというやり方で人為的に作られたという。樹幹は 2 本、根上りは地面から約 2 mにも達する。樹種はクロマツ、樹高 10 m、幹周り 3.9 m、藩主・斉泰が植えたことから、「手植えの松」とも呼ばれている。これをもとにすると、推定樹齢は約 300 年余りとなる。根上り松は、松特有の傘状の形態をしており、からみあった根上りのようすを見られるのも一興であろう。低地と台地の接点に金沢城は造営され、その南東側に兼六園が位置している。金沢一の繁華街・香林坊近くに金沢城・兼六園のような史跡・公園があることだけでも、金沢市の立派な宝物である。ただし、兼六園は全国から観光客が集まるので、いつ行っても人に溢れており、静かに散策を楽しむことはむずかしい。それには、夏ならば早朝、眺望台から川霧の湧く浅野川を見下ろし、それからゆっくり園内を歩くのが一番である。
                        新潟大学名誉教授 鈴 木 郁 夫
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by meiboku | 2014-01-21 18:27 | 兼六園の根上り松