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千本イチョウ -千葉県市川市-

 最近の日本の夏は猛暑であることが普通になったかのように思われる。しかし、イチョウは強い樹木であるので、樹齢を経た巨木は案外多く残されているように思われる。また、イチョウの樹形には多くの形態があるのもおもしろい。市川市の中心、市役所付近に葛飾八幡宮がある。総武線「本八幡」駅の名称は、この葛飾八幡宮に由来する。「本八幡」駅から数分歩くと国道14号(千葉街道)に達し、市役所の手前からほぼ北に向かう長い参道がはじまる。このような参道が残されていることだけでも、神社の歴史を感じさせる。祭神は応神天皇、神功皇后、玉依比売命とされ、889~898 年に宇多天皇の勅命により、石清水八幡宮を勧請して建立、下総国を守護する総鎮守と伝えられる。
この八幡宮本殿裏に御神木のイチョウ(雄株)が立っている。主幹は落雷によって地上約 6 m のところで折れ、名称の通り、主幹を囲むように多数の支幹がのびている。なお、支幹をまとめるようにしめ縄が飾られているが、合体しているようは見えない。樹高23 m、幹周り 12 m、推定樹齢 1,200年の国指定の天然記念物 であるが、驚くような巨木ではない。特徴は由緒ある神社に生育していることに加えて、無数の支幹が束ねられたように伸びている形態のおもしろさが評価されているものと考えられる。
 また、国道14号に面する市役所のほぼ対面に、「八幡の藪知らず」(看板には不知八幡森)がある。奥行き、幅が約 18 m に過ぎないが、「足を踏み入れると、二度と出てこられない」という神隠し伝承がある。この森は、かつては松、杉、柏、栗、竹が繁茂していたが、現在は孟宗竹に勢力を奪われつつあると言われる。この「八幡の藪知らず」の誕生、神隠し伝承については多くの謎が残されているが、江戸時代の書籍にも出てくるとのことであり、不思議である。
新潟大学名誉教授 鈴 木 郁 夫
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by meiboku | 2013-08-17 14:15 | 千本イチョウ