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八王寺の大白藤 -新潟県燕市-

 広大な越後平野のほぼ中央に位置する燕市は、金属洋食器、金属ハウスウエアなどの生産地として世界に知られている。市の南端を信濃川が東流、東端を信濃川から分流した中ノ口川が北流する。古くは津波目と書かれたが、その意味は「川に侵食される所」とも言われる。

 江戸時代は村上・高崎・会津・桑名・与板藩領などが入り組んで変遷し、河川交通に恵まれた交通の要衝であったが、鉄道交通が中心となってからは幹線からやや離れていることもあり衰退した。近年は上越新幹線の燕三条駅、北陸自動車道の三条燕インタ-も造られ、地理的位置に恵まれて、著しく発展している。
 ところで、信濃川左岸、八王寺集落の安了寺境内に大きな白藤がある。この藤は、安了寺が1684~87年に起きた真宗大谷派の宗門紛争に巻き込まれ、当時の住職が仏光寺に転派した際、その決意の証しとして仏光寺派の本山にある「仏光寺藤」に因んで植栽されたと伝えられる。したがって、この伝えに従えば、樹齢は約 330 年となる。幹周り 7 m 、枝張り東西約30 m、南北約 20 m で、高さ 3 m の棚が四方に広がり、枝から長さ 1 m の白い房が花を咲かせて無数に垂れ下がっている。藤が開花する5月初~中旬には、境内に甘い香りが漂うので、安了寺近くなるとすぐわかるほどである。。藤は生長が非常に早いので、江戸時代後半にはすでにその存在が、「松濤の藤」として知られていたらしい。

 1958年に県の天然記念物に指定され、1967年には市民による「白藤保勝会」が結成された。会では樹勢の退化を防ぐために、根回りの掘削、施肥、枝の剪定などをこまめに実施しているので、毎年、立派な花を咲かせてくれる。開花時には、寺の周囲に何か所も臨時駐車場も用意されるほど、市民に限らず多くの人々から楽しまれている。
新潟大学名誉教授 鈴 木 郁 夫
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by meiboku | 2012-05-22 11:25 | 八王寺の大白藤