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千光寺の五本杉 -高山市丹生川町-

 岐阜県高山市は中部日本を代表する観光地として名高い。高山盆地の主邑である高山市は平成の大合併により2011年現在人口 9.4 万を数えるが、宮川沿いに位置する中心街を除くと、市域の大半は長野県境の飛騨山脈と石川・福井県境の白山火山とに挟まれた山間地からなる。中心市街地の北東部は飛騨山脈の乗鞍火山西斜面から流れる小八賀川の流域に当たり、訪れる人も少なく静寂である。千光寺は高野山真言宗の寺院で、山地の南向き斜面を削って造営されている。寺院は、伝承によれば、377(仁徳天皇65)年に開山された歴史があるが、兵火などにより何回か焼失しており、最終的には1588(天正16)年に高山城主金森長近によって再建されたとのことである。千光寺は飛騨三十三観音霊場であり、森には八十八カ所霊場巡りのコ-スが造られている。また、1685(貞享2)年ころ、円空がこの寺に滞在して仏像63 体を彫ったと伝えられるところから、円空仏の寺としてもよく知られている。

 モミ、トウヒ、ブナなどの巨木が生育する山地斜面を削る、薄暗い小さな谷の底、その一番所の前に、五本杉は周囲の樹木を圧倒するように真っ直ぐに生育している。名称は幹が根元近くで5 本に分かれていることから付けられたらしいが、樹髙47 m、幹周り 12 m 、推定樹齢1,200 年、その姿、樹髙・形の立派さから、国指定天然記念物の指定を受けている。谷底に位置する五本杉は、1959 年の伊勢湾台風でかなり被害を受けたが、今ではその傷跡も癒え、5 本ともそれぞれ競うように生長を続けているように見える。

 高山盆地は旧市街の町並み・史跡だけでなく、周辺地域も自然と歴史、生活が一体となった魅力ある景観に富んでいる。時々は訪れたいと思うところである。

新潟大学名誉教授 鈴 木 郁 夫
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by meiboku | 2012-02-25 09:48 | 千光寺の五本杉