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七五三掛桜(しめかけさくら) -山形県鶴岡市-

 朝日山地からの大鳥川と朝日山地・月山からの梵字川は旧朝日村落合で合流して赤川となり、庄内平野に流入する。鶴岡市中心街から自動車で約30分で落合、そこからは梵字川沿いの山地斜面に造られた国道112号を約10分、大網橋から急な斜面を数分走ると大網に達する。

七五三掛桜は、山地斜面の最上部に位置する大網字七五三掛の注連寺の境内に立っている。本堂のすぐ横にやや南東方向に傾くように立つ七五三掛桜の樹種は、カスミザクラである。推定樹齢200年とのことであるので、樹髙12.5 m、幹周り3.2 m と必ずしも巨木ではないが、鶴岡市指定の天然記念物となっている。寺の名称注連は、「注連縄」(しめなわ)のことであり、御神木の七五三掛桜に注連縄を掛けていたことに由来する。注連寺は真言宗智山派の寺院であり、鉄門海上人の即身仏(ミイラ仏)が残されていることでも知られる。注連寺は、出羽三山が女人禁制であった時代に、「女人のための湯殿山参詣所」として信仰を集め、この寺が女性が到達できる境界(結界)であり、そこに注連縄を張ったことに由来する。注連縄の締め方は、中途に7本・5本・3本の縄を通してぶらさげる七五三掛であり、地名、寺の名称もこれによっている。しかし、明治時代になって神仏分離が行われ、出羽三山がすべて神社となり、注連寺も湯殿山参詣所としての役割を失い、周辺に存在した宿坊もなくなってしまった。小説「月山」で1974年第70回芥川賞を受賞した森 敦は、この寺に約半年滞在して同作品を書いたと言われており、それを記念して境内には小さな森 敦文庫が建てられている。なお、2009年春、この注連寺のすぐ下の斜面で地すべりが発生、散在していた家屋の大半は移転、田畑は耕作不能となった。筆者が訪れた2010年10月24日も防止工事が行われていた。鶴岡~山形の国道、これと並走する山形自動車道は出羽三山と朝日山地の境界を走っており、新緑や紅葉の時期にはすばらしいドライブコ-スとなる。梵字川最上流に位置する田麦俣は重層家屋で知られていたが、現在、わずか2戸残されているにすぎない。
新潟大学名誉教授 鈴 木 郁 夫
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by meiboku | 2011-04-26 15:33 | 七五三掛桜