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東昌寺のマルミガヤ -宮城県仙台市-

 仙台市中心街は北側、西側を台地や丘陵に囲まれ、南東方向に開いた地形から成り立っている。市街地の北側には台ノ原段丘とよばれる、広瀬川が約10万年前ころに造りあげた河成段丘面が残されている。台ノ原の北側にはJR仙山線がほぼ東西方向に走り、北仙台駅から至近距離である。台ノ原の名称からも推定されるように、段丘崖に相当する急斜面を登るとその上は平坦な地形となっており、西側の北山1丁目から青葉町にかけては輪王寺、資福寺、覚範寺、青葉神社、東昌寺、光明寺などの格式の高い社寺が並んでいる。段丘崖の下がおよそ標高50m、段丘面の上が標高70 m であるので、標高差(比髙)約 20 m に造られた長い石段を登ると、いずれの社寺も南向きに立っている。東昌寺の住所は青葉区青葉町8-1であり、庫裏の北側にマルミガヤ(雌株)が見られる。

 マルミガヤは樹髙 17.5 m、幹周り5.3 m、推定樹齢 500 年、国指定の天然記念物である。東昌寺は仙台城の鬼門の方角に位置しているので、伊達政宗が鬼門除けとして植えたと伝えられる。なお、種子は藩主の食用にも供されていたので、「御前ガヤ」とも呼ばれていたとのことである。現在では、根元で 2 本に枝分かれしているが、私が訪れた10月中旬には多数の実をつけており、樹勢にいささかの衰えも感じられなかった。東昌寺の広い境内には、アカマツ、コウヨウザンなどの巨木も見られるが、きちんとした本殿、庫裏、掃き清められた庭を通り、石段を下りるころには何となく清々しい気持ちになった。

 かつての仙台市は、この北山地区から南側を中心市街地としていたが、周辺市町村との合併により急速に市域を拡大させた。現在では、この北山地区の北側の七北田丘陵が開発されて住宅地となったので、この地区はむしろ仙台市の中心に位置することになった。段丘崖はまだ緑豊かであり、眼下に中心市街地を見下ろすことができる仙台市の特等席である。ところで、3月11日午後2時46分に、東北地方太平洋沖地震(巨大地震、M 9.0)が発生し、現時点で死者・行方不明者が2 万数千人に達する大惨事となった。宮城県沖で30年以内に大地震が発生する確率は99%と言われていたが、M 9.0 は想定はされていなかった。このマルミガヤも初めての体験であったろうか、聞いてみたいものである。

新潟大学名誉教授 鈴 木 郁 夫
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by meiboku | 2011-03-29 09:50 | 東昌寺のマルミガヤ