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三嶋大社のキンモクセイ -静岡県三島市-

 三島市は富士山の伏流水の湧水地が多く、「水の都」として知られる。市街の北東部は箱根火山の西斜面、西部は愛鷹火山の南東斜面に当たり、東に境川(下流は大場川となって狩野川に合流)、西に黄瀬川が流れ、両河川が造りあげた南に傾斜する扇状地に市街地が広がっている。この扇状地のところどころに湧水が見られところから、古代には伊豆国府が置かれ、地方行政の中心であった。鎌倉時代以降は三嶋大社の門前町として発展してきたので、市の名称もそれに由来するという考えがあるほどである。

 三嶋大社は三島駅南約 1 km に位置し、伊豆国一宮で、三島明神とも称した。祭神は大山祗命(おおやまづみのみこと)と事代主命(ことしろぬしのみこと)、創建年代は未詳であるが、平安初期の文献に現れていることからその古さがわかる。源 頼朝以降、幕府や武家に信仰されて大切に保護され、江戸時代には朱印地530石を領有するほどであったと言われる。

 三島市のほぼ中心に位置する神社の広い境内には多くの巨木が見られるが、キンモクセイは唐門をくぐると拝殿と舞殿の間の右側に立っている。幹は地上約 1 mのところで大きく2 本に分かれ、さらにそれぞれ3本に分岐して四方に広がっているので、巨木というよりもこんもりとした半球状の樹冠となっている。「キンモクセイ」と呼ばれているが、本当は「ウスギモクセイ」(雄株)という種類で、キンモクセイより花が大きく、色が少し淡いとのことである。花は9月上旬~中旬と9月下旬~10月上旬にかけて二度咲く性質がある。樹髙は約15 m、幹周り4 m、国指定天然記念物であり、推定樹齢が1200年ということは、頼朝が活躍していたころ、「キンモクセイ」はすでにこの地に生育していたことになるので、それを考えると不思議な感じがする。

 三島市は駅約500 m南にある楽寿園、隣接する清水町の有名な柿田川湧水群などをはじめとする「水の都」であり、そのきれいな水で約1週間引き締められた「うなぎ」は絶品とのことである。

                                      新潟大学名誉教授 鈴 木 郁 夫
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by meiboku | 2009-11-20 16:59 | 高瀬の大ケヤキ