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熊野神社のシナノキ -長野県軽井沢町-

 長野県北佐久郡軽井沢町は避暑地としてあまりにも有名である。軽井沢は浅間山の南東麓に位置し、標高約1,000 m、夏でも平均気温20℃、朝晩と昼間の温度差の大きな気候、カラマツやシラカバの林に恵まれ、イギリス人宣教師 A.C.ショ-が、1888(明治21)年に初めて別荘を建てたことにはじまる。これ以降、旧軽井沢を中心に外国人の宣教師、外交官、貿易商、日本の政財界人、文化人などの別荘が相次いで建てられ、明治中期には万平ホテル、三笠ホテルが開館した。大正期に入ると、旧軽井沢周辺の野沢原、千が滝などに大手資本によって分譲別荘地が開発され、避暑地としての地位を確立した。

 古代には東山道の長倉駅が置かれ、江戸時代には中山道と北国街道の分岐点としての追分と、沓掛、軽井沢が中山道の浅間三宿として賑わいを見せた。上野(群馬県)の坂本宿(標高470 m)から信濃(長野県)の軽井沢宿(標高970 m)へ達するには、急峻な山道を登り、峠(標高1,140 m)を越える中山道で最大の難路であった。碓氷峠(標高958 m)は、2.5万分の1地形図によれば、国道18号とかつての信越本線が通過していたところを指しており、中山道の峠(旧碓氷峠とよんで区別している)とは異なっている。

 峠には熊野皇大神社建てられ、拝殿の中心が上野と信濃の境界に当たっている。神社の御神木として明治時代までシナノキの巨樹が数本あったが、現在は1本だけ残り、「峠のシナノキ」とも呼ばれている。樹髙12 m、幹周り5.7 m、推定樹齢 850 年、長野県指定の天然記念物である。主幹は根元から3~4 mのところで欠損し、そこから数本の若い枝が伸びているに過ぎず、必ずしも樹勢が旺盛とはいえない。峠には数軒の茶屋があり、境界に立つ「元祖 しげのや」は家屋が長野県と群馬県にまたがり、名刺には住所表記が長野県北佐久郡軽井沢町碓氷峠2 と群馬県安中市松井田町碓氷峠3 とある。なお、峠から約250 m南の見晴台からは南画的な裏妙義山・妙義山などの上州の山々、浅間山のすばらしい景観を楽しめる。私はこの展望台を何回か訪れているが、2003年11月18日は天候に恵まれたこともあり、日本各地の自然景観に比べてとくにすばらしいことに驚き、感動した。
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新潟大学名誉教授 鈴 木 郁 夫
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by meiboku | 2009-08-20 10:24 | 熊野神社のシナノキ