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小原のヒダリマキガヤ -宮城県白石市-

 自動車で新潟市から仙台市まで行くにはいくつかのル-トがあるが、山形県高畠町から白石市への七ケ宿街道(国道113号)は適度なカ-ブが続き、昔の宿場跡を各所に残す風情もあるので、私は好んで利用している。白石川に造られた七ケ宿湖を過ぎると、ロックフィルの堰堤から下流側は深い渓谷となり、左岸の谷壁には国指定天然記念物材木岩、さらに下流の右岸には古くからの小原温泉がある。材木岩は、高さ100 m、中心部の幅が約200 m の断崖で、その名称のように巨大な角材を立てかけたように岩石が規則的に割れた、柱状節理となっていることで知られる。岩質は帯緑灰色の流紋岩で、柱状節理は、一般に六角柱のものが多いが、ここでは四角柱が多く見られるのが珍しいとされる。材木岩の対岸は、国指定天然記念物のヨコグラノキ北限地帯である。ここでのヨコグラノキは急傾斜の岩屑地に10数本生育しているに過ぎない。ヨコグラノキはクロウメモドキ科クマヤナギ属の直立する小高木で、牧野富太郎博士によって高知県横倉山で発見されたことに由来する。

 これらの地域のすぐそばの白石川右岸の下戸沢地区の小学校旧分校跡に、一本のヒダリマキガヤが寂しそうに立っている。カヤの成長速度は遅いので樹髙19 m 、幹周り2.4 mに過ぎず、推定樹齢250 年とのことであるが、傍に看板などが立っていないと気がつかないかもしれない。この木はカヤの変種(雌株)で、実が大きくて幹が左にねじれているのが特徴で、国指定天然記念物となっている。なお、この木は一時樹勢が衰えたので、枯れ枝を伐採などの対策をしたところ、少し元気になったとのことであるが、下戸沢も大きな集落ではなく、分校も亡くなってしまったところに、人知れず生育するヒダリマキガヤには一抹の哀愁を感じる。白石川沿いには、歴史のある小原温泉、材木岩もあるので、それらの探訪の際には、このヒダリマキガヤにも足をのばして元気づけて欲しいと思う。
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新潟大学名誉教授 鈴 木 郁 夫
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by meiboku | 2009-06-19 14:57 | 小原のヒダリマキガヤ