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上郷のハルニレ ~宮城県色麻町(しかまちょう)~

 宮城県北部に位置する低地は、北上川と奥羽山脈から流れ出す迫川、江合川、鳴瀬川が造りあげたものであり、仙北平野と言われる。仙北平野の中心都市は南部では旧古川市(現大崎市)、北部では旧築舘町(現栗原市)である。その旧古川市の西隣に位置する色麻町は鳴瀬川沿いに展開する農村地帯である。色麻町の名称は、『続日本紀』によれば奈良時代の天平9(739)年に色麻柵をこの地に設けたことに由来するとされる。すなわち、播磨国(現兵庫県)飾磨郡(しかまぐん)より移住した人々が、この地に氏神を祀ったことによるなどの諸説がある。なお、色麻柵は奈良時代に東北地方に置かれた大和政権の前進基地の一つであり、出羽国との連絡を開く際の中継基地の役割を果たした。

 ハルニレは鳴瀬川に流入する花川左岸、色麻町四竈(しかま)字田中29 の植木業「喜久樹園」・農業を営む鈴木家の裏にある。周辺に見られる屋敷森の中でひときは目立つ高木であるので、その存在は遠くからもすぐに識別できる。屋敷森は一般に強風避けに植栽されることが多いので、そのことから判断すると、この地方の強風は奥羽山脈からの吹き下ろす北西風と推定される。樹髙 25 m、幹周り 6 m、推定樹齢500 年、宮城県最大のハルニレと言われるが、とくに指定は受けていない。樹木は資材小屋と水田の境界の狭い土地に窮屈そうに少し東側へ傾いて立っており、数本の大きな枝も折れ、樹勢にやや衰えも感じられる。樹皮にはハルニレ特有の美しい脈状の割れ目が目立つ。

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 色麻町は面積 109.2 km2、人口7798(2007. 8)で漸減傾向にあり、農業を主体としているが、平成の大合併に際しても周辺市町村との合併をすることなく、独自の道を選択した。木彫りの河童をご神体とする磯良(いそら)神社があり、庁舎前にはかっぱ像(かっぺい君)、町内には河童川、河童橋、ム-ンライトかっぱ、「かっぱ祭り」などかっぱを中心とする町おこしを展開している。旧古川市に近いこと、最近トヨタの関連企業が南隣の大衡村へ進出を決めたことなどにより、色麻町は大きく変化することが予想される。

新潟大学名誉教授 鈴 木 郁 夫
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by meiboku | 2008-05-19 11:52 | 上郷のハルニレ