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大井沢の大栗 -山形県西川町-

 山形県西川町大井沢は、朝日山地の障子ケ岳・天狗角力取山への登山口として知られている。しかし、大井沢は山形盆地からかなり離れ、山形~鶴岡~酒田を結ぶ国道112号を通ることはあっても、当地を訪れる機会がなかった。西川町は1954年に 4 村が合併して成立、1975年の人口は10,016(高齢化率、13.6%) を数えたが、2011 年には6,458(高齢化率35.6 %)と激減、日本の豪雪山間地と同様に著しい過疎化に直面し、その根本的な打開策を見つけることはむずかしい。2011年11月上旬、月山山麓に紅葉見物に出かけた折りに、月山ダムから南下して寒河江川上流の大井沢を訪ねることができた。主要な集落は、寒河江川中流に沿う国道112 号沿いに展開し、月山湖に流入する寒河江川上流の大井沢には想像以上に家屋が散在していた。詳しい資料は持ち合わせていないが、大井沢の家屋数および小・中学校の閉鎖などから考えて、人口は100 人未満と推定される。

 その大井沢のほぼ中心に造られた大井沢自然博物館および自然と匠の伝承館(旧小・中学校跡地)付近から寒河江川左岸の林道を数 km走る。集落および林道沿いには、熊出没注意の立て札が数か所見られたので、注意しながら自動車を停めてから約150 m 歩くと眼前に大きな栗の木が飛び込んできた。当地は北東へ傾斜する地すべり地形と推定され、標高約 600 m である。樹種はシバクリ、樹髙15 m、幹周り 8.5 m、推定樹齢約 800 年、町指定の天然記念物であったが、1996 年「巨樹の会」によって太さ日本一の大栗と認定されたことから、県指定に格上げされた。栗の実は既に落下していたが、黄色くなった葉のようすなどからみて、まだまだ衰えを感じさせない樹勢である。このような訪れる人もほとんどない山地斜面に残された大栗は、長い年月いかにして豪雪に耐えてきたのであろうか。大栗の立つところからほぼ北の方向に月山の山頂が望まれた。近年、山形市から大井沢への時間距離は著しく短縮されたが、それにしては大井沢では時間がゆっくり流れている感じがする。 

新潟大学名誉教授 鈴 木 郁 夫
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by meiboku | 2013-10-22 15:56 | 大井沢の大栗