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連取り(つなとり)の松 -群馬県伊勢崎市-

 2011年の日本列島は、巨大地震、集中豪雨などによって甚大な被害を受けた。それらの一日も早い復旧・復興と2012年が平穏であることを望みたい。

 伊勢崎市は群馬県南部、利根川北岸の低地に広がり、人口約 21.1 万を数える(2011 年)。室町時代には赤石といったが、伊勢宮の勧請にちなんで、伊勢前(いせさき)、伊勢先と呼ばれるようになったなどの説がある。中心市街地は伊勢崎台地、西部の連取町などは広瀬川や利根川などの扇状地に展開する。

 「連取の松」は連取町西部の菅原神社の境内にある。広い駐車場に自動車を停めると、眼前に奇妙な形をした松が飛び込んでくる。この人を圧倒するような松は菅笠のような形をしているので、地元の人々から親しみを込めて「笠松」、あるいは菅原神社の境内にあることから「天神松」とも呼ばれている。伊勢崎市教育委員会のパンフレットによれば、この松は、江戸時代の享保2(1717)年に、連取村を支配していた旗本・駒井氏の家臣に代わって村を治めた飯島一覚が、隣村の韮塚村の諏訪の原に植わっていたものを、天満宮の社前に植え替えたものであるという。このように来歴がはっきりした樹木は珍しいとさえ言われている。したがって、植え替えてから92 年を経過した文化 5(1808)年には、既に巨木となっているようで、名所として知られていたらしい。樹種はクロマツ、樹髙は 5 m、幹周り 4 m、枝張りは東西 35 m、南北26 mもあり、推定樹齢 300 年、県指定の天然記念物である。

 この松の変わった形態は、自然になったものではないという。すなわち、松の生えている菅原神社は、連取村上組の鎮守であることから、秋に上組の氏子が毎戸一人を出して、きちんと手入れをした結果である。松は鳥居と拝殿の間に植えられているので、参詣者は長く伸びた大きな枝の下を腰をかがめながら注意深く歩かなければならない。このように鳥居をくぐってから腰をかがめ、頭を低くして通過しなければならないので、自然に畏敬の念が生まれると言われる。この松の隣には、明治43(1910)に植えられた「シンマツ」もあり、これもかなりの巨木となっている。

新潟大学名誉教授 鈴 木 郁 夫
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by meiboku | 2012-01-24 09:55 | 連取り(つなとり)の松)