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東根の大ケヤキ -山形県東根市-

 山形県は庄内の北部と新潟県寄りの地域を除く大半が、最上川流域のみからなる珍しい県であり、県の盛衰は最上川を抜いて語ることはできない。

 東根市は山形県の中東部に位置し、人口約4.6 万を数える。サクランボ・洋ナシ(ラ・フランス)やリンゴなどの果樹生産、特にサクランボの主要品種「佐藤錦」が開発されたところとして知られる。山形市から新庄市へと向かう国道17号沿いにもそれらの果樹園が展開しており、それらは奥羽山脈から流れ出す大小の河川が造りあげた扇状地に位置し、古くからの町並みはより山側(扇頂)に位置している。国道17 号から扇頂へ向かって、三日町、八日町と歴史を感じさせる中心街を通り、一段高くなったところに東根小学校がある。その東根小学校の構内、正門近くに堂々たる大ケヤキが立っている。実はこのケヤキのそばにかつてはもう一本大ケヤキが並んでおり、前者は雌槻、後者は雄槻と呼ばれていたが、雄槻は残念なことに1885(明治18)年に枯れてしまったとされる。1991年の環境庁の調査報告では、生き残ったケヤキは第 3 位の巨木とされているが、第 1位と第2 位のケヤキの傷みが激しく、主幹などが伐採されているので、現在ではこの大ケヤキが日本一といえる。樹髙 24 m、幹周り 12.6 m、推定樹齢 1,500 年以上、その巨大さ・樹勢からみても国指定天然記念物であることは十分納得できる。主幹は地上から約 5 m のところでふたまたに分かれているが、それぞれ上に向かって枝を大きく広げている。二つの枝の境目には大きな空洞があり、それをくぐり抜けると子宝に恵まれるとされるが、現在は柵によって立ち入ることはできない。

 ところで、ケヤキが立っている小学校の校内は、南北朝時代の小田島長義が築いた本丸跡である。したがって、樹齢から考えると、東根城築城当時すでにかなりの大木であったことになる。小学校、そしてケヤキもすばらしい環境に立っており、東根の人々から大切に保護されている。小学校に達するには、整然とした敷石の坂道を登り、周辺にはケヤキ案内所・トイレ、大きな池も造られ、公園整備が進んでいる。中心街には、歴史を感じさせる広大な旧宅が所々に残されているので、ゆっくり散策するのも楽しい。

新潟大学名誉教授 鈴 木 郁 夫
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by meiboku | 2011-05-31 09:47 | 東根の大ケヤキ