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御座石神社の七種の木 -秋田県仙北市-

 秋田県中東部に位置する田沢湖は、最大深423.4 mで日本最深の湖として知られているが、硫酸銅を溶かしたような水の色の美しさも有数である。かつては摩周湖に次いで透明度も高く、30 m (1926年)を記録したが、最近は湖岸に打ち寄せるごみや湖水の汚染が問題となっている。また、クニマスなどの固有の魚類もいたが、1940年に電源開発のために玉川の強酸性の水を流入させたことにより完全に死滅、最近になって、流入口で中和剤を投入し、魚類の復活を目指すようになった。田沢湖の成因は陥没カルデラとされているが、それにしては陥没の原因となった大量の火砕物質が周辺にあまり残されていないのが謎であり、東大名誉教授久野 久は「一般地質学」の講義で隕石の衝突の可能性を指摘し、それには隕石起源の鉱物が発見されれば証明できると述べていた。これについてはまだ研究が進んでいないようで、現段階では、田沢湖は十和田湖、屈斜路湖、支笏湖などと同じタイプの大カルデラ火山に起源をもつとされている。 

 田沢湖岸では、御座石神社付近の水の色が、湖岸の木々と調和してとりわけきれいである。湖岸の水際に、「動かすと雨が降る」と言い伝えのある雨乞石があり、それほど大きくはないが柵によって保護されている。雨乞石を覆うように松、杉、桜、槐(えんじゅ)、エゴノキ、梅、梨の7種が一株から成育している。これらの樹木は大きくないが、一株から生えているのが珍しいとされている。しかし、七種の木に注目する人はほとんどなく、筆者も何回となく当地を訪れているが、気がついたのは2009年 7月12日が初めてであった。なお、御座石神社の石段横に、県指定天然記念物のスギが立っているが、これも驚くような巨木ではない。

 田沢湖は夏季には水泳、ヨット、ジェットボ-トなどを興じる人々、遊覧船で賑わい、湖岸に伝説の辰子姫像、辰子姫を祀る御座石神社を巡る一周道路もあり、田沢湖高原、乳頭温泉、角館などとともに一大観光地となっている。

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新潟大学名誉教授 鈴 木 郁 夫
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by meiboku | 2010-09-06 09:14 | 御座石神社の七種の木