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ケンとメリ-の木 ~北海道美瑛町~

 何でもない木がひょんなことで有名になることがある。

 今回取り上げたケンとメリ-の木は北海道のほぼ中央に位置する美瑛町大久保の大久保農場にあり、昭和47年(1972)に日産スカイラインのCMに登場して一躍知られるようになった。樹種はポプラ、巨木とは必ずしも言えないが、のっぽな木は遠くからもよく見えるので、パッチワ-クの丘のシンボル的存在である。この木は、看板によれば現在の牧場経営者の大久保盛厚氏の祖父、大久保由助氏が大正12年(1923)に植えたとのことである。パッチワ-クの丘というのは、JR美瑛駅の北側に広がる丘の愛称で、美瑛の人々が耕しているジャガイモや麦の畑が描き出す模様に由来し、昭和51年にタバコのセブンスタ-のパッケ-ジに使われたカシワの木(樹齢約70年)、親子の木(カシワ)、わたあめの木(ポプラ)などもあり、マイルドセブンの丘、年間約30種類の花が彩るゼルブの丘などを一巡するようなコ-スが設定されている。最近では、これらの木々の周辺に駐車場、こぢんまりしたカフェ・レストランが建てられ、十勝火山群を背景に魅力ある観光スポットとなっている。

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 美瑛駅から十勝岳にかけての山麓は美瑛の丘と呼ばれ、「絵になる」風景が展開する。この地形は十勝岳の火山活動と関わって造られ、ダイナミックに波打つような丘は雄大である。これらの丘が織りなす風景は、故前田真三氏を筆頭に写真家憧れの地として知られ、現在ではいくつかのギャラリ-が開設されている。なお、三浦綾子の『泥流地帯』、『続泥流地帯』は大正15年に発生した十勝岳の火山泥流をモデルにしたものであり、丘陵を侵食する美瑛川、富良野川沿いに上富良野、中富良野まで流れ下り、144名の犠牲者を出す大惨事となった。富良野盆地はラベンダ-だけでなく、倉本 聰によって描かれた世界も新しい観光資源をつくりだしている。

新潟大学名誉教授 鈴 木 郁 夫
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by meiboku | 2007-07-20 09:52 | ケンとメリ-の木