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竹鼻別院の藤 -岐阜県羽島市-

 岐阜県南端に位置する羽島市は、木曽川と長良川に挟まれた桑原輪中に位置している。本地域は標高5~6 m であり、現在からおよそ4,300年前頃に長良川からの土砂によって陸域になったと考えられている。羽島市の中心市街地は名鉄竹鼻線の羽島市役所前駅付近の竹鼻町であり、昔ながらの風情を残す町並みが広がっている。竹鼻町は長良川による自然堤防に位置しており、南北に続く狭い道路沿いに古くからの家々がぎっしり並んでいる。

 羽島市役所前駅から商店街を北に約 5 分歩くと、東本願寺竹鼻別院に達する。この地に草庵が建てられたのは、嘉禎元(1235)年に親鸞が住民に説法した後と言われ、文明2(1470)年に蓮如が草庵を再興、現在地に移転したのは宝暦10(1760)年とのことである。その後、明治19(1886)年に竹鼻別院と改称、明治24(1891)年に発生した M8.0の濃尾地震によって本堂は倒壊、現在の建物は、大正11(1922)年に再建された。この町並みは、おそらくこの別院とともに発展した門前町と推定される。

 藤は、立派な山門を入ってすぐ左手、本堂前に大きな薄紫の花房を垂らした藤棚が作られている。樹髙 2.4 m、幹周り 2.3 m、その広がりは東西33 m、南北 15 m、推定樹齢 300 年とされている。この藤は1980年代半ばに樹勢に衰えがみられた。そこで地元の有志が集まって、1985年から樹勢回復作業や管理を行い、翌年には「竹鼻別院の藤を守る会」を設立していろいろな手入れをしてきた。そして、1990 年に第一回藤祭りをを開催、以後、毎年 4月下旬~5月上旬に藤祭りを開いている。私が訪れた2010年 4 月25 日は、藤が開花したばかりで、花房の先端がわずかに開花したにすぎなかったが、日曜日で好天に恵まれたこともあり、藤棚周辺には屋台もたくさん作られ、多くの人々が観賞していた。 ところで、全国を回り、およそ12万体の仏像を創った江戸時代初期の僧円空の生誕地は、竹鼻町の南に位置する上中町中付近と言われる。未知の土地を訪れると、思わぬ発見がある。これが旅のおもしろさであろうか。

新潟大学名誉教授 鈴 木 郁 夫
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by meiboku | 2010-06-22 15:22 | 竹鼻別院の藤