カテゴリ:山五十川の玉杉( 1 )

 

山五十川(やまいらがわ)の玉杉 -山形県鶴岡市-

 鶴岡市南部、摩耶山地の湯ノ沢岳(964 m)から流れ出す五十川という小さな河川がある。日本海海岸を走る国道7号の五十川集落から五十川沿いに自動車で約20分走ると、山五十川集落に達する。摩耶山地の斜面はかなり急傾斜であるが、狭い谷底にはいくつかの集落が散在している。これらの集落は、日本の原風景ともいえる静かさを醸し出している。

本流の五十川と支流の温俣川の合流点付近に位置する山五十川集落は、山間部にあるがガソリンスタンドもあり、それなりの機能を持っているように思われる。

 玉杉は、温俣川右岸に設けられた駐車場横から比髙約35 mに及ぶ急な石段を登ると、熊野神社の拝殿の前にまさに堂々と立っている。筆者が訪れたのは、9 月末日、石段は掃き清められて、落ち葉が全くみられなかった。杉の巨木は、これまでに何本か見ているが、主幹が上に向かってまっすぐにのびているようすに驚かされ、国指定天然記念物であることは十分納得できる。太い根は波打つように張っており、その根を保護する目的でロ-プが張られている。樹髙 33 メ-トル、幹周り10 m、推定樹齢 1,400 年(看板には1,500 年、日本一とある)、枝張りは東西 35 m、南北 36 m 、均整の取れた半球状の樹形であることから、玉杉と呼ばれるようになったとのことである。それにしても美しい形をした杉であり、集落の人々がいかに大切に守っているかがわかる。見終わって、本当に立派な玉杉に畏敬の念を持って石段を下りた。

 新潟県村上市山北から鶴岡市への海岸道路は、沖合いに浮かぶ粟島を眺めながら走るが、芭蕉が詠んだ句碑「温海山や吹浦かけて夕涼み」(本当は酒田から象潟への途中で詠んだものと思われる)も温海山(温泉岳、736 m)付近に建ち、変化に富んでいる。太陽が日本海に沈む頃、鶴岡から村上へ向かうのが美しい。県境付近には焼畑で栽培された赤カブ売り場、個人の製塩場がいくつか並んでいる。

新潟大学名誉教授 鈴 木 郁 夫
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by meiboku | 2010-01-20 11:47 | 山五十川の玉杉