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入西(につさい)のビャクシン -埼玉県坂戸市-

 埼玉県中部、関東平野西部に位置する坂戸市は入間台地の末端に当たり、湧水に恵まれているので、条里制の遺構がみられるなど開発は古く、中世~近世には宿場町として機能した。坂戸は越辺(おつぺ)川と高麗川沿いの台地および低地に展開する農村であったが、1916年に東武東上線、1932年に東武越生線が開通すると、宅地化がはじまった。1960年代後半以降、大学や、住宅、工場などが立地、首都圏のベッドタウンとして人口が急増したので、1976年に旧坂戸町を中核として周辺の4村と合併して市制を施行、2009年4月の人口は約10万を数える。

 坂戸市の中心街は入間台地(約8万年前に形成)に位置するが、それを高麗川が侵食して約2万年前に形成した河成段丘面や約1万年前以降に形成された低地にも広がっている。ビャクシンは高麗川左岸の約2万年前に造られた河成段丘面に位置し、旧入西村北大塚であることから、「入西のビャクシン」と呼ばれているが、樹種はイブキである。ビャクシンは周辺よりも高さ12~15 m の小高い丘(大塚の地名の起源、円墳とのこと)の上に建てられた石上神社の社殿の前に見られる。樹髙12 m 、幹周り3.5 m、県指定天然記念物である。樹木は少し傾き、根元からぐるぐるにねじれており、それについてはいくつかの言い伝えが残されているが、地元では「ねじり木」と呼んで大切に保護してきた。

 古墳(埋葬者・時代不明)の上に生育していること、石上神社との関わりから、坂戸市教育委員会(1993)は樹齢を550~850 年と推定している。古木・巨木は、古い歴史をもつ神社、寺院の境内に残されていることが多く、入西のビャクシンもその典型といえる。

新潟大学名誉教授 鈴 木 郁 夫
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by meiboku | 2009-12-21 15:54 | 入西のビャクシン