カテゴリ:泉龍寺のコウヤマキ( 1 )

 

泉龍寺のコウヤマキ ~群馬県高山村~

群馬県北部の高山村は、みなかみ町、沼田市、渋川市、中之条町にはさまれた人口4,230(2007年)の静かな山村である。村域は北側には旧新治村(みなかみ町)との境界に破風山(1088 m)、南側には小野子山(1208 m)から十二ヶ岳(1201 m)へと東西方向に続く古い火山体、東側には子持山(1296 m)の古い火山が存在し、これらの山地に囲まれている。地形的には西側が開けているので、中之条盆地に流れ込む名久田川の流域に集落が点在する。吾妻川沿いに渋川から中之条に達する国道353号に比べて、沼田市で国道17号から分岐して中之条に達する国道145号は、「日本ロマンチック街道」(栃木県宇都宮市~長野県上田市に達する、全長350 kmの道路)の一部をなすだけあって、日本の原風景が比較的よく残された景観が展開する。近年、火山の山麓には多くのゴルフが造られてはいるが、名久田川沿いには人々の暮らしがあり、何となくほっとする空間がひろがっている。高山村を東西に走る国道145号沿いの元宿から北側に少し入った熊野集落に真言宗泉龍寺がある。泉龍寺は北側に山を控え、前面には棚田、やや離れて小野子山~十二ヶ岳の山なみが広がる。
e0119669_148836.jpg
 参道に続く石段を登ったところに本堂・庫裏があり、それらのすぐ裏にコウヤマキが堂々と立っている。樹木は根元から約2 mのところで二股に分岐しているものの、樹髙29 m、幹周り6 m、推定樹齢800年、県指定の天然記念物である。この木は、源 頼朝が浅間での巻狩りの途中、この寺で休憩し、その記念に植えたと伝えられている。さらに、本堂前には「盆栽松」と命名された、複雑に枝分かれした古木もある。

 高山村は自動車を利用すれば中之条町の中心から約20分、沼田市の国道17号分岐点から約30分で到達できるので、旧中山宿本陣跡、路傍にたたずむ道祖神、若山牧水歌碑(権現峠=沼田市との境界)、国選択無形民俗文化財の指定を受けた人形浄瑠璃「尻高(しったか)人形」などを訪ねるなど、ゆっくりとした時の流れを楽しんで欲しい。

新潟大学名誉教授 鈴 木 郁 夫
[PR]

by meiboku | 2008-09-17 14:09 | 泉龍寺のコウヤマキ