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哲学の木 ~北海道美瑛町~


 北海道中央部、旭川市を中心とする上川盆地と富良野市を中心とする富良野盆地とを分けるのは美瑛丘陵である。美瑛丘陵は十勝岳火山群からの噴出による美瑛火砕流堆積物(約170万年前)、十勝火砕流堆積物(約140-146万年前)から構成されており、これらの火砕流堆積物での土地利用が特徴ある景観を演出している。波浪状の起伏に富む美瑛丘陵では、厳しい自然環境のために河川沿いでは稲作が営まれているが、丘陵は穀類、豆類、根菜など北海道の縮図と言われるほど多種類の農作物を栽培している。美瑛が注目されるようになったのは、十勝火山群を背景にした波打ったような丘陵の美しさと地形を巧みに利用した畑を、故前田真三をはじめとする多くのカメラマンによる四季それぞれに撮影された写真の美しさが知られるようになってからである。
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美瑛丘陵には、昨年紹介したケンとメリ-の木をはじめ、その後、町の観光協会によって名前を付けられた“名木”が何本かある。今回の哲学の木もパノラマロ-ドにある一本で、その存在はよく知られている。観光協会の関係者から話を聞いたことはないので、命名のいきさつはわからないが、名称のおもしろさから見たいという気持ちにさせられる。哲学の木はポプラで、美瑛町拓進、標高350 m のゆるやかな斜面に作られた畑の中に樹幹を少し傾かせて立っている。その傾きが、物事を考えているように見えるところからネ-ミングされたのであろう。樹髙は計測していないので不明であるが、30 m 以上はある巨木である。なお、木の傾きはこの地方の卓越風によるものと考えられるので、ほぼ北西風によって偏形したものであろう。このような樹木の偏形については、近いうちに紹介する予定である。美瑛丘陵には、前に紹介したもの以外にも、パフィ-の木(1997年歌手のパフィ-がTV出演したドラマで利用されたことに由来)、クリスマスツリ-の木などがある。クリスマスツリ-の木などは、周辺の畑地所有者などによれば、形態が似ているところから観光協会が付けたとのこと、樹髙もそれほどなく小さな独立樹にすぎない。

 美瑛町は人口11,230(2008年)に過ぎないが、十勝火山群を背景にしたヨ-ロッパ風の景観を売り物としており、2008年10月発足予定のNPO法人「日本で最も美しい村」連合の中心メンバ-である。
新潟大学名誉教授 鈴 木 郁 夫
  
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by meiboku | 2008-07-22 13:41 | 哲学の木