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与野の大カヤ ~さいたま市中央区~

さいたま市は2001年に旧浦和市、旧大宮市、旧与野市、旧岩槻市が合併して成立し、面積168.33 km2、人口120万を超える大都市となった(2008. 2現在)。その際、旧与野市はさいたま市のほぼ中央に位置するところから中央区となったが、人口は西区(8.3万)、桜区(9.2万)についで、9.3万と少ない。中央区は大宮台地の南部に位置し、東京・埼玉県内への通学・通勤には恵まれているが、区域が狭く、現在でもほぼ満杯状態に近いので、今後、人口の大幅増加はないと考えられる。

 大カヤは、中央区鈴谷 4-15-2妙行寺の境内にあり、旧市名から「与野の大カヤ」とよばれてきた。JP北浦和駅から国道463号(埼大通り)を南西に向かい、埼京線を越えてすぐに国道から北側へ入ったところに、妙行寺がある。埼大通りは北浦和駅などが位置する大宮台地(およそ12万年前の海成層からなる)から低地(およそ5000年前以降につくられた)に位置する埼玉大学へ下りていくが、妙行寺付近は大宮台地から流れ出す浅い谷によって、台地がいくつかに分断されている。妙行寺は浅い谷に面する台地に位置、寺の前に小さな金比羅堂があり、その横に大カヤ(雌株)が堂々と立っている。傍の説明書きによれば、推定樹齢約1,000年、樹髙21.5 m、幹周り7.28 m、国指定の天然記念物であるが、14世紀末にはすでに関東有数の巨木として知られ、榧木(かやのき)金比羅と呼ばれて信仰の対象になっていたという。カヤは舟材として利用されるほど水に強いと言われているので、古くから人間との関わりがあった。現在、樹冠の一部は枯れてはいるが、全体として樹勢は旺盛である。根周り13.5 mの根元には近づけないように柵がつくられ、内部には玉石が敷き詰められ大切に保護されている。

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 妙行寺の立派な本堂・庫裏の裏の広い墓地の一角にモッコクの老木がある。樹髙19.7 m、幹周り 3.4 m、県指定の天然記念物とのことである。主木は枯れているように見え、傾いているので、針金や添え木で支えている程度に弱ってはいるが、支枝は出ている。この妙行寺はかっては臨済宗の心浄寺という寺であったが、15世紀のはじめに、現在の日蓮宗に改宗したとのことである。その際、臨済宗の仏具を埋めて塚を造り、そこにモッコクを植えたと伝えられているが、約600年を経ているので、いつまでその姿を残すことができるであろうか。

新潟大学名誉教授 鈴 木 郁 夫
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by meiboku | 2008-06-16 13:46 | 与野の大カヤ