茂林寺の大ラカンマキ -群馬県館林市-

 関東平野の北西部に位置する群馬県館林市、市の名称は中世以来の地名によっているが、「たて」は台地の先端の地形を示す言葉だと言われる。江戸時代には館林藩が置かれ、1661~80 年は後の 5 代将軍徳川綱吉が藩主であった。 館林中心市街地の位置する台地は約10~8 万年前に形成され、その台地は南東方向へ高度を下げ、末端では沖積低地との高度差が約 5 m以下と小さくなる。

青竜山茂林寺は館林中心市街地の南、台地と沖積低地の境界付近に位置している。そのことは、台地の末端に位置する寺を西~北~東に囲むようにつながる湿地が、台地からの湧水に涵養されていることからも容易に判る。ところで、茂林寺は曹洞宗の寺で、1426 年に美濃の僧・大林正通(だいりんしょうつう)によって開山されたが、後に寺の名称は分福茶釜のおとぎ話でよく知られるようになった。寺の境内に入ると、至るところに大小の形態を異にするたぬき像が造られ、林立するたぬき像を見ながら本堂に達する。本堂に向かって右側にラカンマキ(雌株)、左側にヒイラギの古木が植えられている。両者は、1462 年に一緒に植えられたと伝えられるが、ラカンマキのみが県指定の天然記念物である。ラカンマキの樹髙は約14 m 、幹周り 2.88 mで、マキは生長速度が遅いので驚くような巨木ではない。なお、境内にはサワラをはじめとする古木が多数見られるが、寺がおとぎ話で有名になっていることもあってか、荘厳さは感じられない。本堂には拝観料を払えば、分福茶釜(紫金銅分福茶釜)を観賞することもできる。また、境内には童話作家巌谷小波のぶんぶく茶釜童謡碑もある。

 つつじが咲く頃に館林市街地に近いつつじが岡公園(17世紀初頭、城主榊原康政が植栽したのが起源)の探訪と一緒に、茂林寺を訪れて見たらどうであろうか。巨木とともに林立する多くのユ-モラスなたぬき像が迎えてくれるであろう。

新潟大学名誉教授 鈴 木 郁 夫
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by meiboku | 2013-03-15 13:24 | 茂林寺の大ラカンマキ  

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